こんにちは、奏子(かなこ)です。

派手さはないまでも、高い技術を必要とする職業は多々あります。
ITエンジニアもそのひとつ。
そして、日本は技術職が冷遇される国です。
仕事にプライドを持つ人々の高い技術が日々搾取される現状には辟易します。
ここでは、IT業界で10数年を過ごした経験から見えた実態とその回避策を書いています。
もくじ
安請け合いすると痛い目を見る
「営業天国、エンジニア地獄」
これは、エンジニアを徹底的に搾取しているブラックIT企業を揶揄した言葉。
(実際はそんな企業にいるだけで全員地獄ですが)
交渉力が出来ないしわ寄せが、実作業を行うエンジニアに向かいがちな現状から来ています。
技術者の賃金が低いという悪しき伝統
孫請けや曽孫受けの下流SEの給与は、時給換算すると最低賃金以下となるケースが多々あります。
理由は明白。中間マージンが存在するからです。
本来、仕事の依頼はしっかりと交渉を挟んで直接請け負い、報酬も確実に回収するのが鉄則。
それが出来ないと、数をこなす=長時間のサービス残業(無償労働)でカバーすることしか出来なくなります。
長時間労働の常態化
私がITエンジニアだった頃の月間最長労働時間は417時間(←記録はしていたようです、笑)
うち時間内(いわゆる「定時」の範囲内)は160時間。
1ヶ月の残業時間は、417-160=257時間。
日本の基準では、残業が月間80時間を超えると過労死の危険があるとしています。
実に3倍以上の数字ですが、これは決して珍しいことではありません。
そして、その報酬は未払い(所謂サービス残業)となっていることが大半。
搾取分の労働力を時給換算してみる
仮に平均的なエンジニアの時給¥3,000で計算すると、、
時間内なら月収は¥480,000。
残業257時間中、36協定内の60時間は時給25%増の¥3,750×60=¥225,000
更に、36協定超過分の197時間は時給35%増の¥5,250×197=¥103,4250
¥480,000+¥225,000+¥103,4250=月収は\173,9250となりました。
差額の¥125,9250が消える計算になります。
それでも正社員だからと強制され、耐えることを良しとする風潮には違和感を禁じ得ません。
労働だけではなく報酬も搾取される
立場は変わって、所謂「過剰請求」の話です。
交通事故や詐欺などの話でよく使われる言葉ですが、仕事の現場でも頻繁に発生します。
これから書くのは、エンジニア時代に起きた実際のエピソードです。
30分で終わる仕事に1週間分の請求
ある日、私に1本の電話がかかってきました。
「これ何とか2、3日でできない?以前の依頼先では1週間かかったんだけど・・・」と遠慮がちに言ってきたクライアント。
私は「2、3日もかかりません。今ちょうど手が空いたので30分で作って1時間以内に送ります」と答え、その通りに作り終えて納品しました。
(デジタルデータなので、オンライン上のやり取りで全て完結します)
特筆すべきは、決して私が優秀なわけではなく(無駄だけは徹底的に省いていますが)
寧ろ「厳密には専門外だけど、基礎知識で何とかできる」レベルで片手間に引き受けている案件だということ。
クライアントに専門知識がないのを良いことに作業工数を水増し、ぼったくり請求をします。
更に、怠慢で遅くなる&クオリティの低い物を納品。
優秀でも何でもない、そもそも同業界なだけで専門分野は畑違いの私が30分で終わる程度の仕事。
それを1週間かかると偽ったスケジュールを引いて、1週間分の費用を請求しているのです。
それでも搾取に目を瞑るのか
悪質な搾取行為は業界全体の首を絞める
前述したエピソードは極端な例ですが、問題は報酬未払いや過剰請求などの"ズル"をしないとやっていけないブラック企業が台頭すること。
仕事を依頼する側からすれば、、
「こんなに時間をお金をかけても、これだけのことしか出来ないのか」
と、その業種自体が低く見積もられがちになります。
すると、業界全体の評価が落ちる事態に発展しかねません。
正社員でいることが本当に得策なのか
恐ろしいのは、正社員の肩書ほしさにこうした典型的ブラック企業に入社する新卒者・未経験者の末路。
彼らも真面目に頑張れば、1、2年でそれなりの仕事ができるようになります。
それでも正社員であるが故に、上述の派遣社員と同じかそれ以上のレベルの仕事を、年俸300万円(月収25万ボーナスなし)程度で押し付けられるようになるのです。
年俸制や裁量労働時間制を採用する企業が多い理由は、合法的に時間外手当をなくしって無制限に残業させることです。
私はアルバイト・派遣社員・業務委託・正社員と経験しましたが、正社員としていただいていた報酬が圧倒的に少ないものでした。
社会保障や福利厚生と引き換えにする形ではありますが、それも企業に依存したもので今となっては不確実。
負わされる責任と拘束時間に見合うものではないでしょう。
私が派遣社員としての就労を奨めている理由のひとつでもあります。
まとめ
労働であっても報酬であっても、 相手の無知につけ込んで不当に搾取するという手口は共通しています。
未然に防ぐためには、まず雇用する側・発注する側がその仕事を理解することから始めなければなりません。
雇用される側・受注側も、持てるパフォーマンスの最大限の力で業務を遂行することは重要です。
もちろん、一切の 不正を許さないプライドを持ったうえで 。
無知は罪とも言いますが、どちらの立場でも人任せにばかりしていると、知らず知らずのうちに大きな不利益を被りかねないのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。